【The Last Week's Emo】2024年4月22日(月)~2024年4月28日(日)

 今回もまとめていきます。(前回はこちら)

    目次

  1. 新譜・再発・グッズ関連情報 (A-Z)
  2. ライブ情報 (A-Z)
  3. その他最新情報 (A-Z)
  4. 今週のミニコラム

新譜・再発・グッズ関連情報 (A-Z)

Big Scary Monsters


 Big Scary Monstersから、イリノイのPost Indie-emoソロプロジェクト、Owenの新作アルバムが正式に発表されました。レコードは3色展開です。

Calendar Year


 インディアナのPost Skramzバンド、Calendar Yearの新作アルバムがデジタル配信されました。

Garden Angel



 テネシーのBedroom Emoソロプロジェクト、Garden Angelのライブ音源作品と新作EPがデジタル配信されました。

In Loving Memory…


 アイオワのPost-screamoバンド、In Loving Memory…から、音源集『A Discography』のリプレス盤のジャケット違いと新作アパレルが発表されました。

Mike Allen


 ウィスコンシンのMidwest-emoバンド、Sunday FloodのボーカルであるMike Allenの新曲がデジタル配信されました。

Mob Eight Records



 ニューヨークのMob Eight Recordsから、silkとblouseによるスプリットEPが発表されました。フォーマットはCDです。

Roman Numeral Records


 フロリダのRoman Numeral Recordsから、ジョージアのBlackened Skramzバンド、Malevichの新作EPが発表されました。フォーマットはレコードとカセットです。

Sour City Tapes


 マサチューセッツのSour City Tapesから、ニューヨークのTwinklecoreバンド、Oolongの新作アルバムのカセット版が発表されました。

To Be Gentle


 オレゴンのPost Skramzバンド、To Be Gentleの新曲がデジタル配信されました。

Tomb Tree Tapes


 カナダのTomb Tree Tapesから、ミシガンのEmocrustバンド、In.Her.HeadのデビューEPが発表されました。カセットは3色展開の29本限定です。

Trains to Juniper


 カリフォルニアのPost Skramzバンド、Trains to Juniperの新曲がデジタル配信されました。

ライブ情報 (A-Z)

The Get Up Kids


 ミズーリのMidwest-emoバンド、The Get Up Kidsから、2nd アルバム『Something To Write Home About』の25周年を記念したツアーの日程が発表されました。

その他最新情報 (A-Z)

Expert Work Records


 ミズーリのExpert Work Recordsから、Tintorettoの音源集に関する続報がありました。フォーマットはレコードとCDで、来月に予約開始になるようです。

(((((OPENmind/SATURATEDbrain))))) Podcast


 カナダの(((((OPENmind/SATURATEDbrain))))) Podcastの新作ポッドキャストがデジタル配信されました。今回のゲストはParty Hatsです。

Sadder Star


 Sadder Starの新作ポッドキャストがデジタル配信されました。

今週のミニコラム

Tomb Tree Tapesとカセット文化


 カナダのTomb Tree Tapesから、ミシガンのEmocrustバンド、In.Her.HeadのデビューEPが発表されました。In.Her.Headは2021年頃から活動していて、シングルが定期的にデジタル配信されてましたが、今回が初の本格的な作品となります。新人Screamoバンドの発掘といえば、Tomb Tree Tapesの右に出るレーベルはありません。このIn.Her.Headも素晴らしいバンドで、EmoviolenceやSassがお好きな方は必聴です。  
 ということで今週は、現行のScreamoシーンの親分的な存在であるDavid Normanが運営しているTomb Tree Tapesと、その周辺のシーンにおけるカセット文化について簡単にまとめてみたいと思います。

 David Nomanは2013年の4月頃からBloggerで「(((((OPENmind/SATURATEDbrain)))))」を運営していて、同年の9月にZegema Beach Recordsを創設しました(1)。Zegema Beachは言わずもがな、現行Screamoシーンの超重要レーベルで、このレーベルなくして昨今のSkramzブームがここまで盛り上がることはなかったでしょう。そんなDavidが、2019年に新たに創設したのがTomb Tree Tapesです。


 Zegema Beachでも、まだ知名度の低いバンドの音源を発表することはありましたが、生産コストを考えると単価を下げるためには生産数をあげるしかなく、新人発掘にも限界がありました。Lathe Cutやカセットなどのコストが低いフォーマットで少数生産する方法もありますが、そうなるとレーベル自体の知名度が上がりづらいため、新人発掘専門のサブレーベルを作る必要があったわけです。そして、Tom Treeでは名前からも分かる通り、低コストのフォーマットとしてカセットテープが採用されました。

 カセットテープは1963年にフィリップス社から発表されるもののしばらくはレコードが主流のままでした。しかし、1979年にSonyから初代ウォークマンこと「TPS-L2」が登場したことで、急激に広まっていきます(2)。  
 1984年になるとカセットの売上はレコードを上回り、音楽フォーマット全体の約55%を占めるほど成長します(3)。84年といえば、Rites of Springが結成された年であり、翌年には"Revolution Summer"が起こるため、カセットの流行はEmo/Screamoの誕生とほぼ重なるわけです。  
 さらに、カセットはレコードやCDとは違い、磁気テープの特性上、データの書き込みが手軽に出来たことで、DIY精神が根付いたパンクシーンにはぴったりのフォーマットでした。

 
 上のグラフは、自分が現時点で把握しているEmo/Screamoの作品約16,700点のフォーマットごとの割合をまとめたものです(自分が分かる範囲内の割合ですので、あくまで参考程度に)。  
 "The Second Wave"と"The Third Wave"の頃になると完全にCDが主力となるので、さすがにCDの方が作品数は多いですが、カセットが全体の約12%を占めているのは注目すべき点です。 
 "The Fourth Wave"のリバイバルブーム以後、カセットで作品を発表する流れが生まれ、ここ最近ではCDよりもカセットの方が多くなっています。各年代とフォーマットの関係性については、別の機会で詳しく触れる予定なのでここら辺で割愛します。

 そんなこんなで、Tom Treeの運営方針は近年のレーベルの基盤といえるものとなり、Missed Out Recordsno funeral recordsHunkofplastic RecordsBSDJなどへと継承されていくことになります。

脚注





 ということで今回は以上になります。それでは、また来週をお楽しみに。


-Yasuaki